コンフォートゾーン

エリヤフ・ゴールドラットの新刊本、ザ・チョイスを読みました。読後感として、新しいアプローチというよりもこれまでを振り返るというイメージが強かったのですが、それは日本人だからかもしれません。

本の中で調和という概念が出てくるのですが、海外にはビジネスの場において調和という概念はなかったのかと逆に驚かされます。また、日本人向けのメッセージとして、対立を恐れることが、真の調和を阻害する要因になるとも語っています。


本の後半で、コンフォートゾーンという言葉が出てきますが、ファシリテーション用語としても時々登場します。

森時彦氏の著書、ザ・ファシリテーターでも触れていますが、居心地のいい空間という意味で、自分の限界(だと思い込んでいる領域)とか、仕事の範囲とか、自分自身で決め付けてしまっている範囲になります。また、その範囲から外れて行動したり考えることは、異常にストレスを感じたり拒否反応を示す場合があります。


コンフォートゾーンという考え方を知っていると、途中までうまく行っているように見えるのに、範囲を広げたり方法を少し変えたりすると、途端に動かなくなったりやる気がなくなったりするのは、多少なりとも上記のような心理が働いているのだろうと推測することができます。

人によっては、なんとかコンフォートゾーンから出ずに物事を進められないかな、という思考に陥るかもしれません。コンフォートゾーンという境界が分からない人から見ると、怠惰に映る可能性があります。

なぜ動かないのか、と相手を叱咤するのではなく、理屈で分かっていてもなかなかコンフォートゾーンから出れないという人もしくはチームに対してどのようなアプローチを取るべきかを一緒に考える、ということもスムーズに出来るのではないかなと、ファシリテータ目線で考えてみました。